女ひとりで東京から鎌倉まで歩いてみた その３ ～１日目後編～
その２はこちら
arakiyou.hatenablog.com
よみうりランドのある山を下り、私は本日の最終目的地、快活クラブ東戸塚駅前店を目指していた。
途中、百合ヶ丘店を発見。
とんだローアングル。
山を降りてからの私はグーグルマップを頼りに南へ南へ、ひたすら上り坂下り坂の住宅街を突き進む。
それにしても
神奈川って、坂多くない･･･？
坂、坂、坂。
通る住宅街が延々と坂なんですよ･･･
その現実は私をこの先幾度となく苦しめる。
上りきったと思ったら下り、
下りきったと思ったら上る。
をエンドレス。
｢イヤ･･･ね、うん･･･。ゼェ･･･一心不乱に歩くしかゼェ･･･する事が無いなんて(動悸)｣
｢今後の将来を、ね、熟考するにゃあゼェ･･･丁度良いでは･･･御座いませんか･･･へへっ(息切れ)｣
と回らない頭で考えながら、ひたすらお目当てのネカフェを目指していった。
ーよみうりランドから２時間弱ー
ー自宅出発から５時間ー
メッッッッッッッチャ足痛い･･･
痛い。
痛い。
足の裏ヒジョーに痛い。
すっかり暗くなり時刻は20時前、自宅から約12㎞地点。
今私は川崎市麻生区王禅寺、日吉ノ辻交差点という所にいる。
目的のネカフェまでの距離はぁ、現時点で･･･へぇー、フムフム･･･
約20㎞。
行けるわけねぇ｡
誰だよこの距離行けるとか思ってた奴･･･
馬鹿だろ･･･
やめる。目的地変える(切り替え早い)
東戸塚駅前店は諦め、そのままマップで１番近い快活を探す。
約１時間半7.4㎞先に快活クラブ横浜北山田店がある。
鎌倉方面でないのは一瞬気になったが、普段NO運動LIFEな私の足は既に限界だ。
早急に休みたい。
目的地変更。
Ｔ字の日吉ノ辻交差点、進行方向右折予定だったところを左折する。
その時諦めた東戸塚駅前店へのルートをマップで一応確認したが、途中また山道というか、ゴルフ場の側等を通らなければならなそうだった。
昼ならまだしも、夜中に知らない山道を歩く度胸は私には無い。
私も怖いが、真夜中に汗掻きすぎて髪の毛濡れまくってる疲れた顔の女が、１人で山道歩いてるのに出くわせば、すれ違う車の人もさぞ怖かろう。
行かなくてよかった。
日吉ノ辻交差点を左に曲がり、相も変わらず住宅街を進んでいく。
途中スーパーとドラッグストアが向かい合っていたのでどちらにも入ったが、結局何も買わずじまいだった。
ちなみに本日の私は昼に家でウインナー３本と豆腐半丁を食べた以外、固形物は口にしていない。
明日で30を迎えるいい歳の女の昼飯としては、色んな意味で問題がある気もしなくはないが、とりあえず不思議とお腹が空く事はなかった。
ほら、子供とか明日遠足だったりすると、興奮しちゃって寝れないじゃん？
私も明日には海が見れる(ハズ)なもんだから、アドレナリンでも出てるんですかね、嬉しくて。
アホだな･･･(察し)
ー自宅出発から約６時間ー
とにかく休みたいんじゃいという思いとアドレナリンで住宅街を抜けきり、102号線に出る。
この先ですよ。
ここ真っ直ぐ行ったらあるんですよ、快活が･･･！
足裏の痛みはとっくにピークを迎え、歩幅はいつもの半分程に。足裏も痛いがふくらはぎも相当だ。
マップでは１時間半となっていたが、勿論そんな短時間では着けそうにない。
途中またも100円ローソンを見つけたので、またまた飲み物を購入。みっくちゅじゅーちゅのパイン味、うまし。でもフツーの方が好き。
自宅を出てからというものの、休憩無しで歩いてきた。立ち止まったのはコンビニに寄った時とマップを検索する時くらいだ。
現在モーレツに座り込みたいが、立ち止まって座ったが最後、二度と立ち上がれる気がしないので、意地でも歩くのは止められない。
真っ直ぐ行けば目的の快活には着くのだが、おもむろにマップで今度はセブンイレブンを検索。
先で見つけたセブンイレブン横浜牛久保１丁目店にて、nanacoに現金をチャージ。
快活でもnanaco支払いならポイントがつく(普段の自分は忘れがち)
※快活の店舗ではチャージ出来ないっぽい。
これで準備は万端だ。
変わらず102号線を突き進む･･･と言ってもここ(セブン)からならメッチャ近いんですけどね。
10分後。
目の前に見えた北山田交差点を渡りきると、
さぁさぁやっと･･･着きましたよ･･･！
快活クラブ、横浜北山田店･･･！
(疲れ過ぎて写真という概念は既に消えている)
こちらの店舗４階建ての建物の中に、ネットカフェ以外にもフィットネスやマッサージ店が各階に入った複合施設になっているようだ。
家の近くにあったらヤバいやつやね。
21時34分、入店。
女性専用フルフラットシートを選択。
荷物を置き寝っ転がりたい欲求をググッと抑え込み、受付にてシャワー利用を申し出る。
風呂は命の洗濯よ！(by葛城ミサト)
１人１回30分が目安なので急いで入り、髪も乾かし歯も磨き、これにて１日目は終了。
明日は暑くなりすぎないうちに、朝早く行動したいものだ。
そもそも起きれるのか･･･？
こうして私は大好きなネカフェで30歳を迎える。
人生色々あったけど、なんだかんだでおめでとう。
次の日の夜の出来事を、この時の自分に教えてあげたい。
ー鎌倉由比ヶ浜まであと31㎞ー
女ひとりで東京から鎌倉まで歩いてみた その２ ～１日目前編～
その１はこちら
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天気は曇り時々晴れ。
明日には30。
思いつきと勢いだけで、真夏の鎌倉へと向けた一人歩き旅、スタート。
時刻は15時、出発は東京都三鷹市。
この旅の要はなんと言ってもグーグルマップだ。私はグーグル先生に絶大な信頼を寄せている。
まずは国立天文台のある天文台通りをひらすら南下。三鷹付近はやけに宇宙関連の施設が多い。
そんな三鷹市といえばやはりジブリ、ジブリの森美術館が有名なのだろう。夏はジブリって毎年テレビで言ってる気がする。
天文台通りを直進する事数十分、京王線の西調布駅が見えてきた。この辺りは既に三鷹市ではなく調布市だ。
天文台通り真っ直ぐ進んだら駅に着くのか･･･１年くらい住んでるけれど知らなかった。
若い子は知らぬであろうへぇボタン押したい。
駅のすぐ側にドラッグストアがあったので、シャンプーを調達すべく入店。家に手頃な大きさのが無かった。
探した結果小さなメリットを購入。使うのは一体いつぶりだろう。｢このメリット、リンスがいらないのもメリットだよね。｣と決して人前で口に出来ない考えが浮かぶあたり、まだ現時点では余裕である。
この時飲み物は買わなかった。まだ大丈夫だと思ったから。
真夏なのに。
ー自宅出発から３時間ー
橋を渡り多摩川を越え稲城市へ入る。その前方山の上には観覧車が見えた。
よみうりランドだ。
小さい頃は遊園地なんて視界に入っただけでテンションが上がったものだ。
地図を見る限りどうやら山越えをしないといけないらしい。私は素直に従った。
結果死にかけている
山道の車道はあまり広くはなく、それに伴い歩道も狭くなって歩きづらい。場所によっては生い茂った雑草が身体にあたるあたる。
何より汗がもの凄かった。着ているシャツなんて絞れるんじゃないかと思う程に。
飲み物無いしね。
夏を舐めていた。
完全に夏を舐めていた。
と言うか私は全てを舐めきっていた。
見透しの甘さが今の私を形作っている感じがした。
息も絶え絶えに30分程で何とか登りきる。
目の前にはそびえ立つ観覧車と、よみうりランドの入口なんだか出口なんだかゲートらしきものが見える。
時刻は18時15分。
あとはひたすら下るのみ。
だがその前にする事がある。グーグルマップで本日の宿探しだ。
私は一人旅での泊まりはもっぱらネットカフェ、その中でも快活クラブという大手チェーンの所しか利用しないと決めている、好きなのだ。
検索。
よみうりランドから25㎞、歩いて５時間程の先に東戸塚駅前店がある。
もちろん鎌倉方面。
私は再び歩き出す。峠を下っているといつの間にやら川崎市に入ってた。上がるテンション。
来たよー神奈川ー！
途中100円ローソンがあったので、どれにしようか悩むも500mlのカルピスを購入。
今までの人生で１番美味しいカルピス
生き返る。
その間にも日は暮れだしている。
本日目指すは快活クラブ東戸塚駅前店。
行けると思う。
行ける気がする。
私は考えの甘い女だった。
ー鎌倉由比ヶ浜まであと40㎞ー
女ひとりで東京から鎌倉まで歩いてみた その１
私の大好きな宇多田ヒカルの歌に、二時間だけのバカンスという曲がある。
曲のサビにはこんな歌詞がある。
゛思い立ったが吉日 今すぐに参ります ゛
そして明日私は三十路の誕生日を迎える･･･
と言うわけで東京から鎌倉まで歩いてみることにしました。
その日の私は非常に珍しく、早々と目が覚めた。時刻は８時。
１Ｋのクーラーを利かせまくった部屋で寝ぼけたままスマホを手に取り、そこから永遠と液晶画面とのにらめっこを始める。
その時の私はヒッジョーに悩んでいた。明日で誕生日を迎え、実に10年ぶりに年齢の二桁目が変わるのというのに。
私は関西の生まれだが、現在は東京で一人暮らし。
親も兄弟姉妹も親戚もいない、結婚してなければ未婚の母でもない私のおひとりさまレベルは中々だ。
先が見えぬ。
この先一体どーしたもんかと、朝からスマホで生き方についてだの天職を見つけようとかあなたにピッタリの都道府県診断なんかをネットの海で見つけては開くを繰り返していた(因みにピッタリの都道府県は和歌山だった。良いよね和歌山)
アレコレ調べ続けるうちに、時計は既に14時前。
･･･何と言う事でしょう。気が付けば６時間もの長い間、敷き布団の上でゴロゴロしながらスマホと睨みあっていた。怖ッ･･･
考えないといけない事が山ほどある。
明日には三十路になるというのに。
なのにしたいと思う事は何もない。
そして来た。唐突にソレは来た。
私は海が見たくなった。海と言っても見たいのは砂浜の先にある開けた海、整備されきった東京湾では駄目なのだ。
真っ先に浮かんだのは鎌倉だ。だが私は鎌倉に行ったことなど無い。
取りあえずグーグルマップで鎌倉駅を検索すると、一番近いのは由比ヶ浜だそうな。早速自宅から由比ヶ浜までの距離を検索する。
出た。
最短で9時間45分47㎞と出た。
歩きで9時間45分47㎞かぁ･･･
うん歩いて行ける気がする(根拠無し)
と言っても最初から歩いて行けるのでは？とそのつもりで検索をかけた。正直言ってもっと距離があって時間も掛かると思っていたので、その時の私は
｢え、パット見ほぼ一直線じゃない？思ってたより近くない？時間だけでいったら今日中に着ける距離じゃあないか･･･！｣
と俄然鎌倉に行きたくなった。流石に今日中に着けるなんて思ってはいないけど。
歩いて行こうと思ったのには一応理由がある。
私は昔から、悩んだり嫌なことがあると、黙々とひたすら歩き続けたくなる。知らない風景を見つつ、歩きながら色々考えたくなる。今回もそう。
迷いはなかった。
1Ｋの部屋にいてウンウン唸っていても仕方ない。
最低でも歩き続ける10時間、考え事をするには十分だと思う。
ちなみに歩きながら考えるのが好きとか言っているが、行き先を決めて47㎞もの距離を歩いた事は無い。
普段の私は運動など全くしない、マンガとアニメ大好きなインドア派だ。
まぁ良いやん、楽しそうやん？
地続きなんだし行ける行ける！
思わず好きな歌だって口ずさむ。
♪朝昼晩とがん～ばる～ 私たちのエスケープ～♪
♪思い立ったが吉～日 今～す～ぐ～に参りま～す♪
今すぐ参るなら電車で行けよ
と言うツッコミは決して口には出さなかった。
時刻は14時過ぎ、そこからの私の行動は早かった。
リュックの中に必要なものを、録画していたマツコの知らない世界でマツコがカワウソと戯れるのを流し見しながらせっせと荷物を詰め込んでいく。
いつ帰って来るのか分からないので、数日分の録画予約を、年季の入ったHDDにお願いしていく。
数日後の日テレの音楽特番で容量パンクするのは間違いない。
11時間だってばよ。
左手にはリモコン、右手のスマホでヤフーの週間天気予報を確認してみる。
近づく台風。
迷いはナイ(震え声)
思い立ってから約１時間、15時ジャスト。
翌日30歳を迎える私は、背中にリュック、片手に日傘のノープランで、鎌倉を目指して歩き出した。
