アラキの備忘録

なんとか30歳を迎え、人生右往左往しまくってる人間のブログ

女ひとりで東京から鎌倉まで歩いてみた その1

私の大好きな宇多田ヒカルの歌に、二時間だけのバカンスという曲がある。
曲のサビにはこんな歌詞がある。

゛思い立ったが吉日 今すぐに参ります ゛

そして明日私は三十路の誕生日を迎える・・・


と言うわけで東京から鎌倉まで歩いてみることにしました。


その日の私は非常に珍しく、早々と目が覚めた。時刻は8時。
1Kのクーラーを利かせまくった部屋で寝ぼけたままスマホを手に取り、そこから永遠と液晶画面とのにらめっこを始める。

その時の私はヒッジョーに悩んでいた。明日で誕生日を迎え、実に10年ぶりに年齢の二桁目が変わるのというのに。


私は関西の生まれだが、現在は東京で一人暮らし。
親も兄弟姉妹も親戚もいない、結婚してなければ未婚の母でもない私のおひとりさまレベルは中々だ。


先が見えぬ。


この先一体どーしたもんかと、朝からスマホで生き方についてだの天職を見つけようとかあなたにピッタリの都道府県診断なんかをネットの海で見つけては開くを繰り返していた(因みにピッタリの都道府県は和歌山だった。良いよね和歌山)


アレコレ調べ続けるうちに、時計は既に14時前。
・・・何と言う事でしょう。気が付けば6時間もの長い間、敷き布団の上でゴロゴロしながらスマホと睨みあっていた。怖ッ・・・


考えないといけない事が山ほどある。

明日には三十路になるというのに。

なのにしたいと思う事は何もない。



そして来た。唐突にソレは来た。

私は海が見たくなった。海と言っても見たいのは砂浜の先にある開けた海、整備されきった東京湾では駄目なのだ。

真っ先に浮かんだのは鎌倉だ。だが私は鎌倉に行ったことなど無い。
取りあえずグーグルマップで鎌倉駅を検索すると、一番近いのは由比ヶ浜だそうな。早速自宅から由比ヶ浜までの距離を検索する。


出た。
最短で9時間45分47㎞と出た。
歩きで9時間45分47㎞かぁ・・・


うん歩いて行ける気がする(根拠無し)


と言っても最初から歩いて行けるのでは?とそのつもりで検索をかけた。正直言ってもっと距離があって時間も掛かると思っていたので、その時の私は

「え、パット見ほぼ一直線じゃない?思ってたより近くない?時間だけでいったら今日中に着ける距離じゃあないか・・・!」

と俄然鎌倉に行きたくなった。流石に今日中に着けるなんて思ってはいないけど。


歩いて行こうと思ったのには一応理由がある。
私は昔から、悩んだり嫌なことがあると、黙々とひたすら歩き続けたくなる。知らない風景を見つつ、歩きながら色々考えたくなる。今回もそう。


迷いはなかった。


1Kの部屋にいてウンウン唸っていても仕方ない。
最低でも歩き続ける10時間、考え事をするには十分だと思う。

ちなみに歩きながら考えるのが好きとか言っているが、行き先を決めて47㎞もの距離を歩いた事は無い。
普段の私は運動など全くしない、マンガとアニメ大好きなインドア派だ。
まぁ良いやん、楽しそうやん?
地続きなんだし行ける行ける!


思わず好きな歌だって口ずさむ。

♪朝昼晩とがん~ばる~ 私たちのエスケープ~♪

♪思い立ったが吉~日 今~す~ぐ~に参りま~す♪


今すぐ参るなら電車で行けよ

と言うツッコミは決して口には出さなかった。


時刻は14時過ぎ、そこからの私の行動は早かった。

リュックの中に必要なものを、録画していたマツコの知らない世界でマツコがカワウソと戯れるのを流し見しながらせっせと荷物を詰め込んでいく。
いつ帰って来るのか分からないので、数日分の録画予約を、年季の入ったHDDにお願いしていく。
数日後の日テレの音楽特番で容量パンクするのは間違いない。
11時間だってばよ。

左手にはリモコン、右手のスマホでヤフーの週間天気予報を確認してみる。

近づく台風。


迷いはナイ(震え声)


思い立ってから約1時間、15時ジャスト。

翌日30歳を迎える私は、背中にリュック、片手に日傘のノープランで、鎌倉を目指して歩き出した。